2012 石川県言語聴覚士会主催研修会 講演

  • 日時
    • 2012年2月19日(日)10:00〜15:00
  • 会場
    • 金沢こども医療福祉センター(石川県金沢市)
  • 講演名
    • 吃音があるお子さんの指導・支援
  • 講演の概要
    • 第1部「吃音と吃音臨床 基礎知識から最新の知見まで」
      • 吃音の言語症状の特徴、言語症状の波、発吃と自然治癒、原因論(多要因型モデル、Guitarの2段階モデル、StarkweatherのDCモデル)
      • 吃音の予防、環境調整法、情緒・情動面に対するアプローチ、発話面に対するアプローチ(スピーチセラピー)、多面的・包括的アプローチ
      • 幼児期から学齢前期の吃音臨床の基本的考え方
        • 臨床方法は、多面的・包括的アプローチを採用し、具体的には、(a)吃音氷山(図1)全体の改善(縮小)を狙う、(b)発達・成熟を待つ(DCモデルのDを下げる)。(c)吃音に対する「否定的な」意識を育てない(「吃音に対する意識を育てない」ではない)、(d)吃音の言語症状をバロメータとして捉える。
        • 環境調整や遊び場面を用いた指導等、間接アプローチ中心とする。
        • 直接アプローチは、本人の困り感が強い場合や、間接アプローチだけでは改善が見込めない場合に、補完的、限定して用いる。
    • 第2部「吃音臨床の実際 幼児期から学齢前期に焦点をあてて」
      • 言語聴覚士が取り扱うことが比較的多いと考えられる幼児期から学齢前期の吃音に焦点を絞り、評価、指導・支援の方法について、私が実際に用いているクリニカル・パス(試案)に基づいて、1. 初回、2. 実態把握、3. 評価と指導・支援方針の検討、4. 指導・支援、5. 再評価についての、具体的な方法を説明した。

石川県言語聴覚士会主催研修会で「吃音があるお子さんの指導・支援」というタイトルの講演をしました

平成24年2月19日(日)に金沢こども医療福祉センターで開催された石川県言語聴覚士会主催研修会で、「吃音があるお子さんの指導・支援」というタイトルの講演を行いました。今回の研修会では、吃音の原因論、特性、評価、指導・支援方法の最新の知見や、幼児期から学齢期前期の吃音がある子どもやその保護者への評価と指導・支援について、私のこれまでの臨床実践の具体的な方法に紹介しました。

 

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2012 石川県精神保健福祉協会研究会シンポジウム 話題提供

  • 日時
    • 2012年2月11日(土)
  • 会場
    • 石川県こころの健康センター
  • シンポジウムタイトル
    • 子どもの豊かな育ちのために
  • 話題提供のタイトル
    • この子に吃音があるかもしれないと感じた時、どのように対応すればよいか
  • 講演の概要
    • 吃音は、構音獲得の遅れ(構音障害)、広汎性発達の遅れ(自閉性障害)、言語発達の遅れなどと並んで、幼児期から学齢期にかけて比較的多く見られる言語障害のひとつです。
    • 吃音の言語症状は、大きく、(1)語音の繰り返し(「わ、わ、わたし」)、(2)語音の引き伸ばし(「わーーーたし」)、(3)語音のつまり(「・・・・・・わたし」)の3つの種類に分類することができます。また、随伴運動(発話時に体の一部が本人の意思とは関係なく動いてしまう)が吃音の言語症状に伴われることもあります。吃音の言語症状は、一般的に、繰り返し、引き伸ばし、つまりの順番で悪化していくことが知られています。これらの悪化の背景には、吃音への気づきから、発話に対する不安や緊張が増大し、そのために口やのど、体の緊張やこわばりが増加することがあげられます。さらに、吃音の言語症状の出現は一定ではなく、良い時期と悪い時期が波の様に繰り返されることが知られています。
    • 吃音は、ある程度発話ができる(3〜4語文程度が話せるようになる)2〜4歳頃に出始める(発吃と言います)場合が多いことが知られています。幼児期の吃音の出現率は約5%とかなり高率ですが、これが小学校入学前後になると約1%まで減少します。つまり、これら差し引き約4%の子どもは、幼児期で吃音がなくなることを示しており、このことを「自然治癒」といいます。
    • 吃音の原因は、現在のところ、よく分かっていません。しかし、言語発達のアンバランスさや情緒・情動の「繊細さ」がその背景にあるのではないかと推定されています。なお、「吃音の人には左利きが多い」、「両親が吃音のことを気にしすぎると吃音になる」などが吃音の原因論として考えられた時期もありましたが、現在では、このいずれも否定されています。
    • 吃音は、「どもる話し方」(吃音の言語症状)で特徴付けられる問題ですが、必ずしも「どもる話し方」だけが、その問題の中心にあるわけではありません。確かに、「どもる話し方」は吃音の重要な問題の一つですが、吃音が出現する背景には、言語発達や情緒・情動面の問題、吃音への気づきやそれに伴う心理的な問題、子どもを取り囲む環境の問題等があり、これらに対してトータルに対処することが必要と考えられています。
    • 吃音があるお子さんへのご家庭での育児や、幼稚園・保育園、小・中学校などの保育・教育では、(1)上述の吃音の背景にある様々な問題にトータルに対処する、(2)吃音への気づきを否定的なものとしない、ことが必要になると考えられます。(1)については、言語発達のアンバランスさを解消するために子どもの言語発達に合わせたり(ゆっくり、ゆったり、短めの発話を用いる等)、情緒・情動の問題を解消するために子どもの要求水準を少し下げたりする(子どもの不安や気持ちや不安定な情動に寄り添う)等の対応が有効です。また、吃音の言語症状は自然治癒するお子さんでも小学校入学前後まで継続することがほとんどであることを踏まえて長期的展望を持って対処したり、吃音の言語症状が上述の様々な問題を反映していることを踏まえて吃音の言語症状をバロメータとして活用したりすることも効果的です。(2)については、「どもることが悪いことではない」ことを子どもに伝えることで子どもの吃音に対する意識に働きかけたり、吃音のことをからかう子どもに対して適切な対処を行ったりする等が求められます。
    • 吃音があるお子さんとその保護者の方を支える専門機関としては、言語聴覚士やことばの教室担当教員等の専門家の存在をあげることができます。これらの専門家から、(1)吃音についての情報提供、(2)吃音の程度、今後の見通しなどの評価、(3)保護者ガイダンス、担任等への情報提供等の環境調整、(4)間接的あるいは直接的な吃音に対する指導・支援等を受けることが出来ます。お子さんに吃音があるのではないかと感じられた際は、まずは、これらの専門機関に相談をされることをお勧めします。
  • 当日配布した講演のレジメを以下のリンクよりダウンロードできます